04. 国際収支と為替相場
今回は、「経済学・経済政策 ~R3-10 国際収支と為替変動(8)IS-LM-BP分析~」について説明します。 経済学・経済政策 ~令和3年度一次試験問題一覧~ 令和3年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。 経済学・経済政策 ~令和3年度一次試験問題一覧~ IS-LM-BP分析 -リンク- 本ブログにて「IS-LM-BP分析」について説明しているページを以下に示しますのでアクセス.
経済学・経済政策 ~IS-LM-BP分析のまとめ~
今回は、「経済学・経済政策」の「IS-LM-BP分析」に関する記事のまとめです。 IS-LM-BP分析 水準の概念をもとに相場のバランスを分析 水準の概念をもとに相場のバランスを分析 -リンク- 本ブログにて「IS-LM-BP分析」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。 R3-10 国際収支と為替変動(8)IS-LM-BP分析 R2-11-1 国際収支と為替変動(2)BP曲線 R2-11-2 国際収支と為替変動(3)IS-LM-BP分析 .
経済学・経済政策 ~H27-10 国際収支と為替変動(6)IS-LM-BP分析~
今回は、「経済学・経済政策 ~H27-10 国際収支と為替変動(6)IS-LM-BP分析~」について説明します。 経済学・経済政策 ~平成27年度一次試験問題一覧~ 平成27年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。 経済学・経済政策 ~平成27年度一次試験問題一覧~ IS-LM-BP分析 -リンク- 本ブログにて「IS-LM-BP分析」について説明しているページを以下に示しますので.
経済学・経済政策 ~R1-7 国際収支と為替変動(4)購買力平価説と金利平価説~
今回は、「経済学・経済政策 ~R1-7 国際収支と為替変動(4)購買力平価説と金利平価説~」について説明します。 経済学・経済政策 ~令和元年度一次試験問題一覧~ 令和元年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。 経済学・経済政策 ~令和元年度一次試験問題一覧~ 購買力平価説 「購買力平価説」とは、物価が変動するような長期においては「物価水準」により為替レートが決定されるという理論の.
経済学・経済政策 ~H30-9 国際収支と為替変動(5)IS-LM-BP分析~
今回は、「経済学・経済政策 ~H30-9 国際収支と為替変動(5)IS-LM-BP分析~」について説明します。 経済学・経済政策 ~平成30年度一次試験問題一覧~ 平成30年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。 水準の概念をもとに相場のバランスを分析 経済学・経済政策 ~平成30年度一次試験問題一覧~ IS-LM-BP分析 -リンク- 本ブログにて「IS-LM-BP分析」について説明しているページを以下に示しますのでア.
経済学・経済政策 ~R2-11-2 国際収支と為替変動(3)IS-LM-BP分析~
今回は、「経済学・経済政策 ~R2-11-2 国際収支と為替変動(3)IS-LM-BP分析~」について説明します。 記事が長くなってしまったため「令和2年度 第11問」を2回に分けて解説しています。 今回は「経済学・経済政策 ~R2-11-1 国際収支と為替変動(2)BP曲線~」の続きです。 前回は、国際収支が均衡する点の組み合わせを表す「BP曲線」について説明しましたが、今回は、資本移動が完全に自由な場合の「.
経済学・経済政策 ~R2-11-1 国際収支と為替変動(2)BP曲線~
今回は、「経済学・経済政策 ~R2-11-1 国際収支と為替変動(2)BP曲線~」について説明します。 記事が長くなってしまったため「令和2年度 第11問」を2回に分けて解説していきます。 今回は、国際収支が均衡する点の組み合わせを表す「BP曲線」について説明して、次回は、資本移動が完全に自由な場合の「IS-LM-BP分析」について説明していきます。 経済学・経済政策 ~令和2年度一次試験問題一覧~ 令和.
出来高価格分析の完全ガイド・FX/CFD中級者向け書籍
価格変動幅と出来高の量の推移は基本的には連動する傾向があります。つまり、価格が大きく動くときは出来高も増加し、価格の動きが小さいときは出来高が低下する傾向があるということです。
しかし、この原則が崩れる場合があります。本書では基本的にそこに注目します。
例えば、価格が大きく動いているのに出来高が少ない、価格の動きが小さいのに出来高が多いといった場合です。このような場合には相場の流れが変わり始めている可能性があるため、注意が必要です。
特に大きなプレイヤーが大量のポジションの利益確定を始めるような場面では出来高が多いにも関わらずトレンド方向への価格の勢いが弱くなっているような動きになることがあり、その後、トレンド反転の可能性が高まります。
ローソク足と出来高を併せて分析する
通常のローソク足分析に出来高を加えて分析するとより精度の高い分析を行うことができます。 下のチャートはドル円の5分足チャートですが、上下で長めなヒゲをつけた足が出現したところで、出来高が比較的多いものに印をつけました。いずれもその後、相場の流れが変わっているのが確認できます。
いつもこのように綺麗に反転するというものではありませんが、単純にローソク足の形状だけで考えるよりも信頼度はアップしていると考えられます。
ボリューム・アット・プライス
通常の出来高分析というと時系列でどれだけの出来高があったかを分析するものですが、最近ではボリューム・アット・プライスという価格帯ごとの出来高を用いた分析も手軽にできるようになりました。
このデータを使うと、どの水準で出来高が多かったのかを確認することができ、将来のサポート、レジスタンス候補を探る場面で役立ちます。
このボリューム・アット・プライスは製品版のTrading Viewのチャートでは「出来高プロファイル」というインジケータ(プロ版以上のプランで使用可能)を用いると簡単に表示することができます。
目次
監修者まえがき
読者対象
本書の内容
序文 水準の概念をもとに相場のバランスを分析
VPA(出来高・価格分析)の紹介と、私がこれを始めるようになったきっかけについて話す。私はトレードの旅を出来高から始められた幸運なトレーダーの1人だと思っている。これは私の成功の第一歩であり、あなたにもそうなってもらいたいと思っている。だから私は本書を書いたのだ。あなたの野心をトレードを通して達成するためのお手伝いをしたくて本書を書いたのだ。VPAは市場の秘密を知る唯一の方法であり、VPAを使えば、「スマートマネー」に追随することができる。
第1章 トレードに新しいものは何一つない
VPA(出来高・価格分析)は新しい概念ではない。これはチャールズ・ダウ、ジェシー・リバモア、リチャード・ワイコフといった伝説のトレーダーたちが使ってきた手法だ。彼らはティッカーテープと紙と鉛筆だけを使って、このテクニックで莫大な富を築いた。本章では彼らがどのようにして成功を成し遂げたのかと、この概念が100年以上にわたってほとんど変わっていないことを説明する。
第2章 なぜ出来高なのか
これはとても良い質問だ。本章では、出来高が唯一の主要なインディケーターで、価格と組み合わせれば、市場の将来の方向性を的確に教えてくれるのはなぜなのかを説明する。また、出来高はこのほかにも重要なことを教えてくれる。それは、価格が正しいどうかということである。
第3章 正しい価格
VPA(出来高・価格分析)と組み合わせることで最強のツールになるもう1つの要素――それが価格だ。価格自体は単に買いと売りを示しているにすぎず、将来的に価格がどれくらい動くのかや、もっと重要なのは、その値動きは本物の値動きなのかどうかも教えてくれない。
第4章 VPA――基本理念
本章ではVPA(出来高・価格分析)の基本的な要素を説明する。この分析において私たちが見いだそうとしていることは1つのことだけである。出来高と価格が一致しているかどうか、あるいは、出来高と価格が一致していない箇所、つまり例外的なものがあるかどうかである。出来高と価格が一致していないとき、それは変化の可能性があることを示す最初の警告シグナルになる。
第5章 VPA――チャート全体の分析
本章では、VPA(出来高・価格分析)の基礎となるアキュミュレーション(買い集め)とディストリビューション(売り抜け)という概念について説明する。アキュミュレーションとディストリビューションはすべての時間枠とすべての市場で発生し、打ち上げ花火、つまり売りのクライマックスや買いのクライマックスで終了する。売りや買いのクライマックスが発生すると、アキュミュレーションやディストリビューションは終了し、新しいトレンドが始まる。私たちのやるべきことはインサイダーに従って、彼らが買うときに買って、売るときに売ることである。彼らが買うときや売るときを見極める方法についても説明する。
第6章 VPA――次のレベルへ
本章では前章の概念に基づいて実際のVPA(出来高・価格分析)を見ていく。ここでは3つの最もパワフルなローソク足を紹介する。さらに、VPAの知識を市場分析の完全アプローチに組み込むにあたって重要なストッピングボリュームとトッピングアウトボリュームという概念についても説明する。
第7章 支持線と抵抗線
支持線と抵抗線はテクニカルトレードの土台となるものだが、出来高と組み合わせれば、より一層パワフルになる。市場が保ち合いになるときやブレイクアウトが本物かどうかを見極められないトレーダーは多い。本章ではこれについても説明する。
第8章 ダイナミックトレンドとトレンドライン 水準の概念をもとに相場のバランスを分析
従来のトレンドやトレンドラインという概念は忘れよう。従来のトレンドやトレンドラインが形成されるころには、スマートマネーは手仕舞い、あなたは仕掛けようとする。本章では、ダイナミックトレンドラインの描き方について学習する。これをVPA(出来高・価格分析)を組み合わせれば、トレンドが終わったときではなくて、始まったときに仕掛けることができる。従来のトレンド理論の理解に苦労している人は、本章でぜひともダイナミックトレンドラインという概念を習得してもらいたい。あなたのトレードは激変するはずだ。
第9章 ボリューム・アット・プライス
VPA(出来高・価格分析)とVAP(ボリューム・アット・プライス。価格別出来高)はまったく異なる概念だ。ボリューム・アット・プライスはチャート上のさまざまな価格水準における出来高の密度を視覚的にとらえるものだ。こんなにパワフルな概念をトレーダーが使っていないのは驚くばかりだ。これらの領域からのブレイクアウトは新しいトレンドを生みだす。これをVPAで確認することでお金につながるのである。
第10章 VPAの実例
本章ではさまざまな市場におけるVPA(出来高・価格分析)の「実例」を詳しく見ていく。現物市場で株式に応用された例、現物のFX市場での通貨の例、先物市場での指数の例、ティックチャートを使ったコモディティーの例などいろいろだ。あらゆる市場で、ティックチャートから時間ベースのチャートまで、いろいろなチャートを使って細かく説明する。VPAが本当に機能するのかどうか分からない人は、本章を読んでもらえば確信できるはずだ。
第11章 すべてを1つにまとめよう
本章ではすべての要素を1つにまとめる。さらに、これまで16年にわたってうまくいってきた最もパワフルな保ち合いパターンのいくつかを紹介する。これを出来高と組み合わせることで、明確なトレード機会が提供される。ただし、そのためには忍耐力が必要だ。
第12章 出来高と価格――次世代に向けて
最終章ではVPA(出来高・価格分析)の最新動向と将来的な展望について紹介する。チャールズ・ダウをはじめとする伝説のトレーダーたちは、彼らの仕事がこのように進化したことをきっと喜んでいるに違いない。
謝辞と無料情報サイト
■序文
「Volume Price Analysis(出来高・価格分析)」は私が名付けたものだ。ほかではお目にかかることはないはずだ。私がこの名前を使うのは、出来高、価格、分析という3つの簡単な言葉がまさにこのテクニックを正確に表しているからだ。要するに、トレーダーとしての私たちがある程度の確かさで知りたいのは、「価格が次にどこに行くか」である。
私がトレードを始めたわけ
1990年代の終わり、私は年金と投資はなぜ株式市場で起こっていることを反映していないのだろうと感じていた。そのときの市場は上昇トレンドだった。インターネットが普及する前は、頼れるものは新聞しかなかった。あれは1998年1月のことだった。トレードで大儲けしたあるトレーダーの記事をサンデー・タイムズで読んだ。彼は自分のメソッドを教える人を募集していた。彼の名はアルバート・ラボスだ。
■監修者まえがき
本書は、アナ・クーリングの著した“A Complete Guide 水準の概念をもとに相場のバランスを分析 水準の概念をもとに相場のバランスを分析 To Volume Price Analysis”の邦訳である。マーケットの値動きと出来高の関係を明らかにしようとする試みは、これまでにもグランビルのOBV(オン・バランス・ボリューム)などのテクニカル指標を使って数多く行われてきた。しかし、そのどれもが中途半端な説明に終始し、結果として出来高を用いたトレード手法が主流たりえなかったのは、価格の動きと出来高の関係が線形ではなく、時としてまったく正反対の相関を示すからである。つまり、出来高はそれ自身がマーケットの未来について何かを教えてくれるものではなく、観察者がそれを読み取ることによって初めて価値を持つものなのだ。その意味では、著者が自分で書いているように、出来高分析は厳密な科学ではなく技術である。
また、本書を特徴づけているのは、著者が「市場は大口投資家によって操作されている」と考えていることである。したがって、本文中の出来高分析の解説は、すべてその文脈上で行われている(アンクル・ジョーの例え話は秀逸である)。ここで、そうしたエキセントリックな認識が正しいか否かといえば、実は客観的には正しくはない。ただ、正しいものがいつも役に立つものであるとは限らないのと同様に、正しくないものが無用であるとも限らない。
ファンド・マネジャーが積極的・戦略的に投資対象、組入れ比率、売買のタイミング等の投資判断を行い運用する手法。株式アクティブ運用では個別銘柄等に関する情報の収集・分析を行ない、魅力的な株式をファンドに組入れることにより、市場を超える収益率の確保を目的とする。一般的に売買頻度が高くなりがちであり、情報の入手や分析にも労力を要するため、取引コストや運用受託機関への委託手数料が高くなる。
⇒パッシブ運用 国内外の株式や債券、短期金融商品など様々な資産を、その資産の期待収益率、リスクなどを分析し、リスク許容度に応じ投資対象の資産配分比率を決定すること。 水準の概念をもとに相場のバランスを分析 ポートフォリオに含まれる資産(国内外の株式や債券など)の構成割合のこと。特に中長期の投資方針のもとで策定された資産配分計画を政策アセットミックスという。 投資資産の収益率が、どれだけベンチマークの収益率を上回っているのかを示す指標。アルファ値がプラスということは、ベンチマークよりも、リターンが大きいことを意味する。 時価総額インデックスをベンチマークにすることから生じる運用上の制約をなくし、従来の伝統的アクティブ運用と比較して運用の自由度を高めた債券運用戦略を指す。「アンコンストレインド(unconstrained)」とは「制約がない」という意味であり、2007年の世界金融危機以降のグローバルな金融緩和政策による低い利回りと潜在的な金利上昇リスクに対応した債券運用戦略のひとつである。 生命保険会社が、年金基金や個人年金等から預かった保険料を一つの勘定で運用し、一定の予定利率を保険契約者に保証している(=保証利率)商品。実際の運用利回りが予定利率を上回った場合は、その一部が配当として還元される。一般勘定の保険料は国内外有価証券や不動産・貸付等に広く分散投資されている。 一般的には、同一発行体の発行する債券において、債券の残存年数に応じた金利の水準を表したもの。利回り曲線ともいう。 債券投資や預金などから生じる受取利子、株式投資の場合の現金配当、信託の結果としての収益分配金などから生ずる所得の総称。
⇒キャピタル・ゲイン 国内外の株式や債券などの市場の動向を表すために、特定のルールに基づき作成された指数。
NOMURA-BPI(日本債券)、TOPIX(日本株式)、MSCI(グローバル株式)等、個別資産ごとにだけでなく、同一資産内であっても作成ルールの違いにより様々なインデックスが存在する。 野村證券が作成。国内債券の代表的な基準指標。 東証一部上場全銘柄の株価、支払済み配当を株式数で加重平均して算出したもの。国内株式の代表的な基準指標。 モルガン・スタンレ-・キャピタル・インターナショナル・バーラ社が、全世界株式だけでなく、「ヨ-ロッパ」、「アジア」、「エマ-ジング」、または国別といった様々な切り口の指標を作成。対象国の包括性、切り口の多様性等の点で国際株式の代表的な基準指標。 発行額および発行形態等が一定基準を満たす国債を投資対象とした場合の投資収益率を指数化したもの。国際債券投資の代表的な基準指標。 ファンドの組入れ銘柄群(ポートフォリオ)を市場のインデックス(TOPIX等)構成銘柄と同等のものにすることによって、市場と同等のパフォーマンスをあげることを目的とする運用方法。この運用方法は、市場が効率的であることを前提に、アクティブ運用でコストを支払って情報の収集・分析に努めても継続的に市場に勝ち続けることは困難であるという考え方に立っている。
インデックス運用の委託手数料は経済分析や銘柄分析等の市場見通しを行なわない分、アクティブ運用に比べて安くなる。
⇒パッシブ運用 リスクを加味した超過収益の尺度で、超過収益獲得のための効率性を示す。市場平均を上回る収益を上げるため、どれだけのリスクをとり、そのリスク1単位あたりどれだけの超過収益を上げているかを示す。 インフラ(インフラストラクチャー)とは、市民生活や産業活動を営む上で基盤となる設備や施設のことを指す(交通・発送電施設、学校、刑務所等)。インフラ投資とは、それら施設やその運営会社への出資や融資を行うことによりリターンを狙う運用手法を指す。非上場インフラや実物不動産への投資が典型的な例であり、中長期的に安定したリターン、他資産クラスとの相関性の低さ、インフレヘッジ効果を期待されるなどの特徴がある。 水準の概念をもとに相場のバランスを分析 年金基金が、採用している個別の運用受託機関に対して提示しなければいけない運用にあたってのルール、制限等の具体的な指針。各運用受託機関が遵守すべき資産構成割合の基準および乖離幅(または資産構成についての方針)、運用手法、ベンチマーク、運用業務の報告内容・方法等を提示する。 年金基金との契約に基づき、資産運用を行う信託銀行、投資顧問会社または生命保険会社のこと。運用受託機関は、契約した年金基金に対して受託者責任を負う。 投資スタイルともいい、株式投資をおこなう際に基本となる考え方や手法を総称している。代表的な運用スタイルにはアクティブ運用とパッシブ運用があり、アクティブ運用においては超過収益の源泉の違いにより成長型(グロース)運用や割安型(バリュー)運用などがある。 エマージングとは、「新興の」、「発展段階の」という意味で、中国、インド、東南アジア、中南米、ロシア、東欧諸国など、経済新興諸国の市場のことをエマージング市場という。エマージング市場への投資は、高い経済成長率や今後の市場整備により、高いリターンが期待されるが、政治・経済の基盤が不安定であることからリスクも大きい。 ファンドの組入れ銘柄群(ポートフォリオ)を市場のインデックス(TOPIX等)構成銘柄と同等のものにすることによって、市場と同等のパフォーマンスをあげることを目的とするインデックス運用に対して、ポートフォリオをインデックスに極力合わせつつ、インデックスよりは高いリターンを目指す運用方法。通常のアクティブ運用よりもトラッキング・エラーを小さく取り、安定的なアクティブ・リターン獲得を目指すため、伝統的なアクティブ運用とパッシブ運用の中間に位置付けられる。 ある商品を、将来のある期日までに、その時の市場価格に関係なくあらかじめ決められた特定の価格(=権利行使価格)で買う権利、又は売る権利を売買する取引のことをさす。買う権利をコール・オプション、売る権利をプット・オプションという。 株式、債券などを投資対象とする伝統運用以外の投資。具体的にはヘッジファンド・商品ファンド・不動産などで、従来にない資産に代替する(=オルタナティブ)という意味でこの名称が使われている。
投資対象資産の価格が上下するリスクのこと。 国や企業の発行する債券などについて、国や企業の財務データなどを分析し、債務の履行可能性に応じ「格付」を付与している第三者の民間機関のこと。スタンダード&プアーズ(S&P)社、ムーディーズ社、日本格付投資情報センター(R&I)、日本格付研究所(JCR)などがある。 従業員の給与水準や勤続年数に応じて給付額をあらかじめ決めている年金制度。 個人があらかじめ毎月の掛け金額および投資資産を決めておき、積立金の運用成績に応じて将来の給付額が決まる年金制度。 株価を一株当たり利益で割って算出される。株価と企業の収益力を比較することによって株式の投資価値を判断する際に利用される尺度である。一般的には、市場平均との比較や、その会社の過去のレンジとの比較で割高・割安を判断する場合が多い。 PBRは、当該企業について市場が評価した価格(時価総額)が、会計上の解散価値(株主資本)の何倍であるかを表す指標であり、株価を一株当たり純資産(株主資本)で割ることで算出される。一般的にはPBR水準1倍が株価の下限であると考えられるため、下値を推定する上では効果がある。 株式の議決権を保有する投資家(株主)が、株主総会で議案に対する賛否を投票することをいう。年金基金は運用資産の利益増大を図ることを目的に、自ら議決権を行使するか、または、運用受託機関に議決権の行使を委ねる。 外貨建て資産を保有している場合において、将来のある時点に事前に決められた一定の交換レートで外貨を売り、円を買う取引を行い、為替変動に係るリスクを回避すること。一般的には、通貨の先物取引やオプション取引を行う。 外国為替レートの変動により、邦貨(円)ベースでの利益や損失が発生するリスクのこと。 運用において想定するリターン。投資する資金に対してどれくらいの収益を見込んでいるのかを表している。 年金基金が中長期的に維持すべき全体の資産構成割合のこと。基本アセットミクスとも言う。ポートフォリオのリターンの変動の90%以上は基本ポートフォリオによって説明されるともいわれており、運用目標の達成や資産全体のリスク管理の観点から、その重要性は非常に大きい。具体的な策定のプロセスは、年金ALMの利用により、基金財政の将来像や母体企業のリスク許容度等を把握した上で、掛金の上昇幅を最小に抑えられる等の観点を踏まえ、効率的フロンティア上より選択することになる。基本ポートフォリオは中長期的な観点から策定されるものであり、直近の市場動向等に安易に左右されるべきものではない。 従来の適格退職年金制度など確定給付年金制度と確定拠出年金制度の両方の特徴を持つハイブリッド(混合)型と呼ばれる制度。 個別証券の無リスク資産に対する期待超過収益率は、市場リターンに対する感応度により説明されることを示し、それまでリターンの標準偏差によって表されていたリスク概念に加えて、個別証券の市場全体への感応度を示すβ(ベータ)という概念を提示した。
βi:証券iのベータ E (Rm):市場ポートフォリオの期待収益率
株式や債券といった有価証券の投資収益は、インカム・ゲインとキャピタル・ゲインの2つに大別することができる。株式等の有価証券の値動きにより投資元本(水準の概念をもとに相場のバランスを分析 キャピタル)自体の価値が変動するが、値上がりによる収益をキャピタル・ゲインといい、反対に値下がりによる損失をキャピタル・ロスという。 流動性が低いファンド(プライベート・エクイティなど)において、ファンド組成時に投資対象を一括取得できないことから、投資の進捗状況に応じて、投資家が予め決められた期間内・出資上限の範囲内で、ファンドに対して段階的に資金提供を行うことを"キャピタルコール方式"と言う。その場合、投資ファンドが投資資金の払い込みを投資家に要求することをキャピタルコールと呼ぶ。 期初の元本と期中に追加されたキャッシュフローを全ての収益率で運用したものが期末の時価総額となるとき、この収益率を金額加重収益率という。この収益率は、キャッシュフローも含めた運用資産全体の収益率の測定に適している。しかし、キャッシュフローとそのタイミングの影響を排除できないため、計算効果が本来の運用能力とは違ったものとして計算されるためファンド・マネジャーの評価には適していない。
⇒時間加重収益率 過去における株価変動と株価変動要素(経済指標や企業財務データなど)との関係を、コンピュータを用いて数量的に分析し、その分析結果を反映したプログラムによって行う運用。プログラム作成以降の運用は、ファンド・マネジャーの相場観に影響されない。なお、クオンツ運用に対して、ファンド・マネジャーが株価、経済指標や企業財務データなどを分析し、都度、投資判断を行う運用方法はをジャッジメンタルという。 ⇒成長型運用 現代投資理論は、マーコウィッツ(Markowitz)が著した論文<Portfolio Selection>にその端を発する。それまで投資家が漠然と持っていた経験則を、統計的手法を用いて具体化し、個別証券の期待収益率・リスク(標準偏差)・相関係数から導出される効率的フロンティア等から、最適なポートフォリオを決定する方法を考案した。マーコウィッツの議論は、個別投資家による最適ポートフォリオ選択の問題であったが、これを市場全体に拡張し、市場における個別証券の均衡価格を扱う理論が、シャープ(Sharpe)・リントナー(Lintner)によるキャピタル・アセット・プライシング・モデル(CAPM:Capital Asset Pricing Model)である。 複数の契約の資金を1つの勘定で運用すること。信託銀行の年金信託や年金投資基金信託(年投口)、生命保険会社の一般勘定、第一特約がこれに当たる。合同運用では、個別契約の金額が少なくても、これらをまとめることによって、多数の資産や銘柄に投資が可能となり、リスク分散がはかれるというメリットがある。一方で、合同で運用されるため、年金基金の細かな運用ニーズには対応出来ない。 ファイナンス理論における考え方の一つで、市場で取引されるすべての証券の価格が、その時点で利用できるすべての情報をもとに瞬時に形成され、利用されていない利益機会が存在しない場合、市場は効率的であるという。 有効フロンティアとも訳される。内外の債券・株式等、複数の投資対象資産のすべての組み合わせのなかで、同じリターンならリスクの最も小さい組み合わせ、同じリスクならリターンの最も高い組み合わせ(つまり最も効率的な組み合わせ)を集めたもの。
効率的フロンティアを描くためには、過去データ等に基づく各資産のリターンとリスクのほか、相関係数が必要である。アセットミクスの合計リターンは各資産のリターンをその比率で加重平均した値となるが、合計のリスクは資産分散効果により、各資産間の相関係数に応じて低減するからである。資産分散効果を織込んだ結果、効率的フロンティアの形状は、リスクの低減を示す左側に湾曲した曲線となることが多い。 企業統治の意味で、企業の経営を監視、規律すること、または、その仕組みのこと。 法令遵守やその体制のことをいう。運用受託機関においては、役職員の具体的行動規範や内部管理体制などが規定されている。
- 年金基金自身が運用するので、自ら望む運用を行うことができる。
- 自ら運用することでノウハウが蓄積され、より効果的に外部の運用受託機関を管理ができる(自家運用を通じて、資産運用上の重要な管理ポイントが理解できるということ)。
- コストが節約できる。
受託者(年金の制度の運営や、資産の運用などに携わる者)が果たすべき責任のこと。善管注意義務、忠実義務が重要だと考えられている。 信用リスクとは、投資先の財務状況の悪化等で、元本や利金の回収が予定通り行われないことで損失が発生するリスクのこと。クレジットリスク、債務不履行(デフォルト)リスクともいう。 ファンドが特定の運用スタイル(割安型運用、成長型運用といった投資手法)を有する場合に、そのファンドのベンチマークとなる指数のこと。 機関投資家が「顧客・受益者」の中長期的な投資リターン拡大を果たすための原則を指す。「日本版スチュワードシップ・コード」が2014年に金融庁により策定され、コーポレートガバナンス改革を「形式」から「実質」へと深化させていくため2017年5月に改訂が行われた。「日本版スチュワードシップ・コード」は、機関投資家が投資先企業と建設的な「目的をもった対話」(エンゲージメント)などを通じて、当該企業の企業価値の向上や持続的成長を促すことにより、中長期的な投資リターン拡大を図ることを目的とする。 TOPIXに代表される時価加重型のインデックスとは異なり、特定の財務指標や株価変動率といったデータに着目して指数化したインデックスを活用する運用戦略を指す。「ファンダメンタル指数型」「最小分散指数型」のように、着目するインデックスによりいくつかの類型がある。一般的には、中長期的に市場平均を上回るようなパフォーマンスを期待される運用戦略である。 ⇒基本ポートフォリオ 年金受給者の加入員数に対する比率、給付金の掛金に対する比率等で表された年金制度の状況。恒常的に、給付金が掛金を上回る状況であれば、成熟度は高いと見なされる。 企業の利益成長に主眼をおいて投資する手法。成長株投資ともいう。企業の競争力、商品開発力、その企業が属している業種等に着目し、一株当たりの利益成長が高いと見込まれる企業に投資する運用手法のこと。 特定のベンチマークや参考指標に対する相対的な超過収益を追及する運用とは異なり、市場のパフォーマンスに関わらず、投資元本からの絶対収益を追求する運用を指す。 「善良なる管理者が払うべき注意義務」の意で、忠実義務と並んで受託者責任の内容となる義務。受託者は年金制度全般の管理にあたって、当該職業または地位にある人として通常要求される程度の注意義務をはらう必要がある。 戦略的パートナーシップは、1つの運用受託機関に対して複数の資産科目の運用委託を行いポートフォリオの運営に関するノウハウを移転することを主たる目的として設定する戦略を指す。 水準の概念をもとに相場のバランスを分析 2つ以上の動きの相関(関係)具合を示す数字。「相関係数=1」の場合は、全く同じ動きをするということを示す。例えば、2つの株価の動きを見た場合、相関係数が1であるということは、一方の株価が上昇した時には、もう一方も同じだけ上昇したことを表す。「相関係数=-1」の場合は、全く違う動きをするという意味になる。 利息、配当金や売買実行により発生する損益など、簿価の変動を伴う利益と未収収益(実現収益)のみを運用元本平均残高で除したもの。
⇒総利回り、修正総合利回り
生命保険会社が、積立金を一般勘定から分離し合同運用するもの。運用結果を直接的に保険契約者に還元することを目的として、一般勘定に特約を付加する形態をとる。第一特約には、複数の資産で運用する総合口と、個別の資産を合同で運用する合同運用口が設定されている。投資対象である株式や公社債の価格変動リスクは、一般勘定とは異なり年金基金が取ることになる。 第一特約と同様、積立金を一般勘定から分離し、特別勘定で運用する契約。第一特約との違いは、合同運用ではなく資産を単独で運用する点にある。また、委託者は生命保険会社との協議の上、資産の配分などを決定することができる。 運用受託機関が年金基金から委託された資金を他の資金と分離して直接投資する運用方法。年金基金独自の運用ニーズがある場合に有用。ただし、委託金額が相当な水準でない場合には、十分にリスク分散した投資が難しくなる。また、取引コストの面でもスケールメリットが享受できなくなり、合同運用が適することになる。 年金の制度の運営や、資産の運用に携わる人(=受託者)が果たすべき責任の一つ。受託者は受益者の利益のためだけに、忠実に職務を遂行しなければならない。
⇒受託者責任、善管注意義務 積立金運用の基本方針は、運用目標を達成するために最も重要な枠組みを設定するものである。運用目標、資産構成割合(または資産構成についての方針)、運用受託機関の選任・評価に関する事項、運用業務に関し遵守すべき事項等を規定する。基本方針は、運用受託機関とも相談した上で、年金基金自らの判断で策定しなければならない。基本方針は中長期的な観点から策定されるべきだが、状況の変化に応じて定期的に見直しを行なう必要がある。 個別の債券の残存年数を、各期のキャッシュフロー(クーポン、償還金)の現在価値で加重平均した値。債券の現在価値を回収する期間を示す尺度で、年で表わす(例:水準の概念をもとに相場のバランスを分析 5.1年)。
デュレーションは金利の変化に対する価格変動性も表し、債券のポートフォリオがどれくらいのリスクをとっているかを測る基準として利用される。デュレーションの長い債券は価格変動性が高く、デュレーションの短い債券は価格変動性が低い。従って、金利の低下が見込まれる局面(→債券価格が上がる)では、キャピタル・ゲインをより多く享受するためデュレーションをベンチマークに対して長期化し、金利の上昇が見込まれる局面(→債券化価格が下がる)では、キャピタル・ロスをより少なく抑えるためデュレーションをベンチマークに対して短期化することが行われる。 株式や債券、為替など本来の商品から派生した金融商品のことで派生商品と呼ばれる。代表的なものとして、先物取引、オプション取引などがある。デリバティブは、もともとは原資産である株式や債券、為替の価格変動のリスク回避の手段として誕生しているが、今ではデリバティブ自体を対象とする投資が拡大している。 投資一任契約とは、投資顧問業者(うち投資運用業者として金融商品取引法の規定により、内閣総理大臣の登録を受けたもの)が、投資家から投資判断の全部または一部を一任されるとともに、その投資判断に基づく投資を行うのに必要な権限を委任される内容の契約のこと。 投資家との投資一任契約に基づき、投資家から金融商品への投資判断や投資に必要な権限を委任され投資を行う、または、投資顧問(助言)契約に基づき、投資判断について投資家への助言(投資判断は投資家自身が行う。)を行う者のこと。 特定の資産に限定して運用受託機関に運用を委託する方法。年金基金が、基本ポートフォリオや運用スタイルに関する投資方針を策定し、個々の資産やスタイルによって運用受託機関の巧拙を判断し委託先として採用する。運用受託機関には、資産毎のそれぞれ得意不得意があり、得意な資産の運用だけを委託することによって全体の期待リターンを高めるという手法。一方で、複数の資産を委託する手法をバランス型運用という。 ポートフォリオとベンチマークのリターンの乖離度合いを測るリスク尺度。目標であるベンチマークから乖離する可能性を表す数値で、アクティブリターンのポートフォリオとベンチマークのリターンの差の標準偏差で測定する。パッシブ運用ではトラッキング・エラーをゼロにすることを目標としている。 複数の運用受託機関の間で資産を移受管する際(新規採用、解約、シェア増減時)に、適切な資産構成割合を維持しつつ、移受管コストを最小化しようとするポートフォリオの一元的な管理手法のこと。
具体的には、単一の組織(年金基金や運用受託機関、証券会社)が変更の対象となる全運用受託機関分の構成銘柄に関する情報を把握し、移受管の計画・実行を一元的に管理することによって、現物移受管やクロス取引等の取引種類を使い分け、取引コストを最小にすることを狙う。 金融商品の売買を行おうとする際に発生する費用。売買委託手数料や税金等のほか、自らの売買行動によって取引価格が不利益な方に変動することによるコスト(マーケットインパクトコスト)、ファンド・マネジャーが投資判断を行った際の市場価格と取引が実行された際の市場価格の差(タイミングコスト)、ファンド・マネジャーが投資判断を行ったものの取引ができなかった場合のコスト(機会コスト)などがある。
ALMとは、Asset and Liability Managementの頭文字をとったもので、資産と負債の総合管理のことを言う。年金ALMの目的は、①年金基金の財政状況の将来像を一定の前提のもとで明らかにし、②基金独自の負債構造を踏まえた最適な政策アセットミクスを見出すことにある。
- 伝統的な運用手法にとらわれず、保有していない証券を売却(空売り)したり、デリバティブを用いたりする を上回る収益率獲得を目指すのではなく、収益率自体に目標値を設定する
- 運用報酬の決め方が成功報酬体系となっている
- ファンドへの資金の出し入れのタイミングが限定されている(投資家が希望するタイミングでの投資または解約が行えない場合がある)
- 運用会社が自己資金をファンドに投資する
複数の運用受託機関等を管理するために設定される単一の信託機構で、一つの信託会社が資産の集中管理と会計報告の一元化を行う仕組みのこと。年金基金は情報管理の一元化により事務を効率化することが可能になる。 運用受託機関が、他の運用受託機関を評価選定し複数の運用受託機関を適切に組み合わせて、一つの運用として投資家に提供する運用方式。 年金資産の運用における運用機関の構成のことを指す。実際には、運用機関の構成そのものよりも、「年金資産をどのような種類(役割)の運用機関に、どのようなウェイト(資産額)で配分するかを決定すること及びそのプロセス」を示す。マネジャー・ストラクチャーの主要な目的の一つとしては、政策アセットミックスの効率的かつ効果的な実現というものが挙げられる。
通常、リスクという言葉は危険(好ましくない状況が発生する可能性)という意味で用いられるが、投資の世界で単にリスクという場合は、投資収益の振れ(ばらつき具合)を意味することが多い。過去のデータから投資収益のリスクを測る尺度の一つとして標準偏差がある。 リスク負担者が投資等のリスク負担をする際に、最大どの程度までリスクを取れるかを表す尺度のこと。
厚生年金基金のリスク許容度は基金の成熟度等(年金受給者の加入員数に対する比率、給付金の掛金に対する比率等)の基金サイドの要因と、掛金を拠出する母体企業(設立企業)の掛金負担能力やリスクテイク(リスク負担)の意志等により複合的に決まるので、年金ALM分析によるシミュレーション等を行ないながら総合的に判断される。
一般的には、成熟度が低い基金はリスク許容度が高く、成熟度が高い基金はリスク許容度が低いといえる。 金融資産の期待収益率と無リスク金利との差。同じ投資期間内において、あるリスク資産の期待収益率が、無リスク資産の収益率を上回る幅のこと。たとえば、投資家が、株式という価格が変動するものに投資をするために、価格の変動しないものと比較をして、どのくらい見返りが大きければ、投資をする気になるのか、その度合いを表す。 市場での取引量の少ない資産の売買を行おうとする場合に、通常よりも著しく不利な価格での売買を強いられること、または売買成立に時間を要することにより損失を被るリスクのこと。 債券投資のリターンは、債券の利子収入より得られるインカム・ゲインと債券の価格変動により得られるキャピタル・ゲイン(ロス)に分かれる。イールドカーブの形状に変化がないという前提で、一定期間内に得られるキャピタル・ゲインをロールダウンといい、時間経過によりイールドカーブの傾斜に沿って利回りが下がり、債券価格が上昇することを指す。利回りの低下は債券価格の上昇を意味するため、イールドカーブが右肩上がりの形状で傾きが急になればなるほど、ロールダウン効果が高くなる。
政策相場からファンダメンタルズ相場への移行
大きな驚きをもたらしたリアリティチェック
皮切りとなったのは4月の雇用統計で、新規雇用者数が事前予想を73.4万人も下回りました(図1参照) 2 。連邦準備理事会(FRB)のリチャード・クラリダ副議長は、これを「過去最大の未達」と呼びました 3 。わずか数日後、4月の総合消費者物価指数(CPI)は前月から0.8%と目を見張るほどの上昇となり、予想を大幅に上回りました(図2参照)。そして、5月には消費者センチメントが急降下し、最も悲観的なアナリストの予測さえも大きく下回りました。
不確実性は後退、次の展開に注目
データの乱高下は市場行動に影響を及ぼし続けるでしょう。ケインズが指摘するように、行動を促す自発的な衝動に拍車をかけるのはアニマル・スピリッツであって、測定された数値を基にした定量分析から予測された結果ではありません。投資家は短期のノイズに惑わされずに、足元の景気回復の始まり数ヵ月間の後に訪れる景気動向に注目するべきだと考えます。
「成長のピーク」へ、そして、その先にあるもの
金融政策の次の段階
FRBのバランスシートは、量的緩和(QE)の再開を受けて、この1年間で大幅に拡大しました。この金融政策によって経済はキャッシュであふれ、資金供給量が劇的に拡大しました。私が「無料の流動性」と呼んでいる大量の金融緩和資金、すなわち、「実体」経済の1つの指標である工業生産を上回る資金が供給されたのです(図3参照)。しかし、この種の成長は永遠には続きません。金融政策は最終的に資産購入の縮小についての議論(最終的には実施)に移行し、その後短期金利の引き上げが実施されるでしょう。
図3:「無料の流動性」とFRBの総資産
(100万米ドル)
前倒しされた財政政策の終焉
バイデン政権は1月に成立させた1兆9,000億ドルの米国救済計画に加えて、米国雇用計画(AJP)と米国の家族のための計画(AFP)への4兆ドル以上の財政出動を提案しました。しかし、法案が可決された場合でも、議会勢力のバランスを考えると難航するとみられ、数兆ドルが実際に投入されるには8~10年かかるでしょう。
貯蓄と支出は別々の道を進む
ここ数ヶ月間、消費者の貯蓄と支出が同時に増加してきましたが、これは永遠には続かないでしょう(図4参照)。消費者は積みあがってきた超過貯蓄の一部を切り崩し、商品やサービスの消費支出を一時的に増やすと予想されます。しかし、貯蓄のストックが高止まりするにしても、経済への信頼が回復するにつれて貯蓄率は通常の水準に戻る公算が高いでしょう。また、最近発表された4月のデータを見ると、コロナ不況に対応した刺激策による給付金の威力なしに2020年5月、2021年1月と3月に見られたような小売売上高の急増を再現するのは困難なようです。
図4:個人の消費と貯蓄
(1兆米ドル、年率季節調整後)
流動性相場からファンダメンタルズ相場への移行
歴史的な成長率のピークを迎える流動性と財政支出に代わって、ファンダメンタルズが市場価値と経済成長を動かすようになるでしょう。この移行により成長の速度は鈍化する一方で、「自律的」なものとなります。ここでいう「自律的な経済」は、(政府ではなく)消費者と企業の支出が需要を喚起する、(給付金ではなく)賃金から家計の収入がもたらされる、金利が(金融超緩和政策ではなく)リスクに対する対価とターム・プレミアムを反映する、状態を指します。
3…2…1…、離陸
このような自律的な離陸は、米国経済の世界金融危機からの回復期にはみられませんでした。失業率は最終的に過去最低水準に低下したものの、インフレ圧力が戻ることはありませんでした。その結果、FRBは何年もの歳月をかけて量的緩和を段階的に縮小し、ようやく利上げに転じたときには米国経済の拡大局面は7年目に入っていました。それでも、FRBは数年後に利上げを軌道修正させなければならず、経済は金融政策なしには回復軌道に乗れなかったことを物語っています。
次の段階:ファンダメンタルズとフリーキャッシュフロー
投資環境の変化に対応するためのゲームプラン
構造的なテーマが勝敗を分ける中、これらに強い確信を持つ目の利く投資家が恩恵にあずかるでしょう。今後12ヵ月間にポートフォリオに関して下される決定は、前回のサイクルでの無制限の政策支援、過剰な流動性、永続的に低い金利といった想定に基づくべきではありません。ファンダメンタルズ主導の景気回復局面が定着すると、ファンダメンタルズが経済や市場全体に様々な影響を及ぼします。
不確実性が高い中でも確信を持ちづづける
私たちのチームでは、満員電車のように押し合いへし合いとなりかねない今後2~3四半期に備えて、ベルトをしっかり締めています。特に、ニューヨークのオフィスに戻る喜びを感じる今、それが真っ先に頭に浮かびます。今後数ヵ月は、ケインズの説いたアニマル・スピリッツが経済を突き動かす中で、市場パフォーマンスや経済データの見通しは不確実性が高まるでしょう。しかし、今後の回復の力強さを信じ、ファンダメンタルズに焦点を再び定める投資家は、その忍耐と目利きが報われると考えます。
- John Maynard Keynes, The General Theory of Employment, Interest and Money, 1936.
- Bureau of Labor Statistics and Bloomberg, as of 5/7/21. Reflects the difference between the initially published (水準の概念をもとに相場のバランスを分析 i.e., non-revised) nonfarm payroll employment number and the 水準の概念をもとに相場のバランスを分析 Bloomberg consensus forecast.
- Reuters, as of 5/12/21. https://www.reuters.com/article/us-usa-fed-clarida-idINKBN2CT1PE
The views expressed in this 水準の概念をもとに相場のバランスを分析 commentary are the personal views of Joe Zidle 水準の概念をもとに相場のバランスを分析 and do not necessarily reflect the views of The Blackstone Group Inc. (together with its affiliates, “Blackstone”). The views expressed reflect the current views of 水準の概念をもとに相場のバランスを分析 Joe Zidle as of the date hereof, and 水準の概念をもとに相場のバランスを分析 neither Joe Zidle, nor Blackstone undertake any responsibility to advise you of any changes in the views expressed herein.
Blackstone and others associated with it may have positions in and effect transactions in securities of companies mentioned or indirectly referenced in this commentary and may also perform or seek to perform services for those companies. Blackstone and others associated with it may also offer strategies to third parties for compensation within those asset classes mentioned or described in this commentary. Investment concepts mentioned in this commentary may be unsuitable for investors depending on their specific investment objectives and financial position.
Tax considerations, margin requirements, commissions and other transaction costs may significantly affect the economic consequences of any transaction concepts referenced in this commentary and should be reviewed carefully with one’s investment and tax advisors. All information in this commentary is believed to be reliable as of the 水準の概念をもとに相場のバランスを分析 date on which this commentary was issued, and has been obtained from public sources believed to be reliable. No representation or warranty, either express or implied, is provided in relation to the accuracy or completeness of the information contained herein.
This commentary does not constitute an offer to sell any securities or the solicitation of an offer to purchase any securities. This commentary discusses broad market, industry or sector trends, or other general economic, market or political conditions and has not been provided in a fiduciary capacity under ERISA and should not be construed as research, investment advice, or any investment recommendation. Past performance is not necessarily 水準の概念をもとに相場のバランスを分析 indicative of future performance.
For more information about how Blackstone collects, uses, stores and processes your 水準の概念をもとに相場のバランスを分析 personal information, please see our Privacy Policy here: www.blackstone.com/privacy. You have the right to object to receiving direct marketing from Blackstone at any time. Please click the link above to unsubscribe from this mailing list.
Market Insights 和訳版
本レポートは、ブラックストーン・グループ のチーフ・インベストメント・ストラテジストであるJoe Zidleにより執筆されたマーケット・インサイト (2021年5月発行) の和訳版です。本レポートは情報提供のみを目的としており、広告、特定の金融商品に関する投資助言・勧誘、及び販売等を目的としたものではありません。また、本レポートの一部または全部を、弊社の書面による事前承認なく第三者へ転送・共有することを禁じます。
商号等/ ブラックストーン・グループ・ジャパン株式会社
金融商品取引業者 関東財務局(金商)第1785号
所在地/東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング10階
加入協会/日本証券業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会
Contact Information and Consent Request
Blackstone Cookie Policy
This website uses cookies, including third-party cookies, in order to obtain information about your visit to the website and make this website better. Please click here if you would like 水準の概念をもとに相場のバランスを分析 more information about the cookies used on this 水準の概念をもとに相場のバランスを分析 website and how to change your cookie settings. Otherwise, we will assume you're OK to continue.
ホーム > レポート・市場動向 > レポート
レポート・市場動向 レポート
“自然空室率”はなぜ5%なのか
~オフィス賃料の反転上昇と空室率の関係~
投資調査第2部 副主任研究員 竹本 水準の概念をもとに相場のバランスを分析 遼太
- オフィス賃料反転の目安となる“自然空室率”は、しばしば5%と言われるが、その水準は長期的に切り上がっており、近年では7%程度と推計される。
- 自然空室率の水準は、オフィス市場における競合ビルの多寡に依存すると考えられる。築古ビルの増加や大規模ビルの増加によってビル間の競合関係が少なくなったことや、企業の立地戦略の高度化を通じて地理的に離れたエリア間の競合が起きにくくなりつつあることが、自然空室率を上昇させた可能性がある。
- 多くの都市で自然空室率は上昇トレンドにあるが、今後、築古ビルの滅失が進めば低下に転じる可能性もあろう。いずれにせよ、賃貸オフィス市場の市況判断にあたっては、空室率の水準そのものに加え、足元の自然空室率の水準を適宜把握しておくことが重要といえる。
オフィス賃料反転の目安となる“自然空室率”は過去の経験則から5%と言われる
賃料の推移を図表1のように変化率で見ると、空室率と賃料の関係はより明確になる。2002年以降、2013年にかけて、空室率が5%を上回っていた(下回っていた)時期と賃料の下落(上昇)時期はほぼ一致していることから、オフィスの賃料相場が反転する「5%」という空室率の水準を“自然空室率”と呼ぶことが多い。すなわち、空室率が自然空室率より高い時期はオフィス需給が借り手優位な状態といえ、逆に自然空室率より低い時期は貸し手優位な需給バランスといえる。
類似の概念は他分野でも存在しており、例えば労働市場では、失業率がある水準より高い時期は賃金インフレ率が低下する傾向にあり、逆に低い時期には賃金インフレ率が高まりやすい。この分水嶺となる失業率の水準は“NAIRU(Non-Accelerating Inflation Rate of Unemployment)”や“自然失業率”などと呼ばれる。
自然空室率は時代によって変化しており、足元では7%程度に切り上がっている可能性
自然空室率の水準は、時代や都市による競合ビルの多寡に依存すると考えられる
理論的には、自然空室率の水準は個別ビルが競合する他ビルの割合に依存すると考えられる。すなわち、競合ビルが多いほど、移転を検討する企業にとって候補となる「実効空室」(競合関係にあるビルの空室合計)は大きく、市場全体の空室がかなり減少しないと需給が逼迫しにくいといえる(図表3の上図)。逆に、競合ビルが少ないほど、移転候補となる「実効空室」は小さく、市場全体の空室が多く残っていても需給が逼迫しやすいといえる(図表3の下図)。
なお、自然空室率が長期的に上昇している傾向は、東京に限らず全国的に観察されることから、日本の賃貸オフィス市場における構造的な現象であると考えられる(図表4)。全国的に自然空室率が上昇している、すなわち賃貸オフィス市場における競合関係が少なくなっている背景として、次のような要因が挙げられる。
コメント