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最適な販売価格の決め方

最適な販売価格の決め方
■既存製品の場合
新商品と同様の手法を取ることも可能ですが、売上データなどの小売りパネルデータから推察できます。小売りのパネルデータから、平均価格の推移を見ることにより、値崩れしてきている時期、変化点を確認します。これにより、小売りの現場で、実際に値引きしないと売れていないのか、小売り側で値引きを行っても、売れていないのかなどを把握することができます。そのような“生きた”データを見ることができるわけです。
小売り側で値引き戦略した結果、商品が売れていないのならば、ブランド価値やイメージを下げないために、効果の薄い値引きは避けるべきです。価格を上げるテストを一部の店舗で行い、価格分析を実施することもあります。

価格設定の考え方

価格は一般には、その商品・サービスの価値を表わすもので、消費者にとっては価格が商品の価値や品質を「判断するモノサシ」となり、購入する際の意思決定の決め手となるものです。すなわち、消費者は価格が妥当かどうかを、商品の必要度や値頃感によってそのつど決めています。
したがって、消費者がその商品に感じる価値が価格より低い場合は、その商品は売れませんし、逆に感じる価値が価格より高ければその商品はヒットすることになります。
しかしながら、売るために、商品にかかるコストや自社の利益を無視した価格設定を行うと、会社経営に深刻なダメージを与える可能性もあります。
これらを考慮すると、価格設定の基本は実務的には、総原価から判断して、販売すると損をする下限の価格と、消費者が購入してくれる上限の価格の範囲内で決まることになります。

また、自社が設定する価格は競合企業の価格政策に影響を与えることも忘れてはなりません。低価格化競争は、しばしば無用な乱売競争を招き、結局は競合企業とお互いの首を絞め合うことにつながる可能性もあります。
これらのことを考えると、価格政策が企業にとっていかに重要な経営課題であるかが分かります。
そのため価格設定は、商品の特性や営業・販売構造などを総合的に判断して、自社にもっとも適した方法を検討する必要があるのです。
現在、自社がどのような価格設定の方法をとっているのか、それが適切かどうかを定期的に確認することが必要です。

基本的な価格設定の方法

原価を考慮して決める方法

(1)コストプラス価格設定方式

(2)マークアップ価格設定方式

販売価格=仕入れ原価+値入れ額

  • 店舗もしくは部門経費(商品の管理費用や直接販売費など)
  • 商品の販売に先立って予想される破損・盗難・値下げなどの損失
  • 営業利益

需要を考慮して決める方法

(1)知覚価値価格設定方式

(2)需要差別価格設定方式

競合状況を考慮して決める方法

(1)市場価格より低く設定する方式

(2)市場価格より高くまたは同一価格に設定する方式

商品のライフサイクルと価格政策

導入期の価格政策

(1)市場浸透価格設定方式~販売数量を重視

導入時から低価格を訴求し、販売数量と市場占有率を短期間で上昇させ利益を確保しようとする方法です。
この手法は、販売数量が増加するにつれて商品1単位当たりのコストが下がるという仮定(規模の経済)に基づいています。そのため量産しやすい日用品や食品業界に多くみられる手法です。
成功すれば早い時期に市場でのシェアを獲得でき、また、利幅が低いため競合企業の参入意欲を減退させる、という効果があります。
しかし、販売数量が増加しても期待どおりに原価が下がらず、なかなか利益を確保できないというおそれもあります。

(2)うわずみ吸収価格設定方式~利益率を重視

いわゆる高級品志向を狙う価格設定方法です。(1)とは逆に、導入期に高価格を設定し、収益性を重視し早期の資金回収を図ります。巨額の投資が必要な産業(半導体製造など)に多くみられます。
高級自動車などのように、量産せず、低価格にせず、高級イメージを維持することで希少価値をアピールすることができます。
また、高価格により投下資本を早期に回収し販売数量が増加すれば、競合商品と比較しながら、価格を下げて市場占有率を高めていくことができます。
ただし、ターゲットとなる顧客層が限られるため市場への浸透力が弱く、資本回収に十分な販売数量を確保できないリスクがあります。

成長期の価格政策

商品が成長期に入ると、通常、価格は横ばいか低下の傾向をたどります。それは、市場の成長により競合が激化してくるとともに、生産・販売数量の増加からコストが低下してくるためです。
したがって、企業として成長を維持していくためには、原価プラス利益方式を基本に適切なタイミングでの価格引き下げやサービスの付加を検討する必要があります。
また、成長期の後半には拡販による利益の追求よりも、製造・販売原価の低減が重要な利益の源泉となってくることも忘れてはなりません。

成熟期の価格政策

衰退期の価格政策

商品が衰退期に入ると、販売数量は著しく減少します。さらに新製品の出現、消費者の嗜好の変化によって市場シェアは急激に低下します。
ただし、この傾向が自社だけの傾向なのか、それとも市場全体の傾向なのかによってとるべき方向性は異なってきます。すなわち、もし市場全体が衰退期にあるのであれば原則として市場から撤退することを考えますが、自社のみにみられる傾向であれば価格・品質などの再検討が必要です。
また、市場全体が衰退期にあったとしても、多くの企業が撤退した場合、自社は残りの需要で着実に収益を上げることも可能です。
したがって、この時期は新商品開発を本格化すると同時に、原価を考慮した価格設定で販売して、需要がどのくらいあれば存続していけるかを検討する必要があります。
また、採算割れしない程度の価格を維持して在庫を処分し、近い将来の撤退に備えるといった視点も求められます。

価格設定のテクニック

固定費回収法による価格設定

企業経営においては、ある部門が赤字でもほかの部門がその赤字をカバーしていれば、会社全体としては赤字にはなりません。
したがって、ある商品に割り当てられる固定費を小さくしたり大きくしたりして、販売価格を設定するという方法があります。
たとえば、製造業の場合、戦略商品には材料費・仕入原価などの直接費に労務費・製造経費だけを加えた価格を販売価格とし、そのほかの商品に残りの販売・管理費など固定費を背負わせる、という方法です。(下表では「商品B」が戦略商品)

固定費回収法を3商品で例示した表

(単位:円) 上記の場合、トータル損益は500円

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